コーゾー選書「35歳くらいの自分に読ませたかった7冊」、いよいよ(ようやく)最終回。
これまでに、6冊の本を紹介してきました。
※【前編】から順にお読みくださいネ。
それでは“トリ”の1冊を…。と、その前に。
ちょっと視点を変えるため、こちらの短い映像をどうぞ(2分30秒)。
こちらは、映画『都市を耕す~エディブル・シティ』の予告編。
とても良い内容ですので、ぜひ本編もご覧ください→【こちら】
※日本語字幕版はオンラインでは提供されておらず、市民上映会などをチェックする必要があるようです→【こちら】
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さて、ここで『都市を耕す』というキーワードを挙げた理由は…。
現在の私が「ヒト以外の生き物との共存共栄@都市の中心部にて」というのを、活動のメイン・テーマに据えているからです。
ここでの「生き物」には、自分たちのからだを作る「食べもの(野菜や豆や穀類、その他もろもろ)」を含みますし、受粉を促してくれるミツバチさんをはじめ、昆虫たちも含みます。
暑い日には木陰を作って私たちを休ませてくれる樹木たちや、目を楽しませてくれる草花たちも、同様です。
(こうした「人間にとっての都合」だけでなく、ふつうに生きている虫たちや鳥たち、花たちの存在も、もちろんのこと)
余談ですが…「木漏れ日」って、日本語独特の表現らしいですね。 (写真:Photo AC) |
「ヒトは、他の生物との共存関係によって生かされている」という実感を、都市住民が広く持つためには、どのようなアクションが必要なのか?
(自己変容+他者への働きかけ)
いわゆる「田舎暮らし」への憧れもありますが、「都市に留まることが、私のつとめである」と、自分に言い聞かせています。
そして、都市部からはほとんど失われた「健全な土壌」を、なんとかしてよみがえらせたい。
そんな思いで選んだ、最後の1冊がこちらです(↓)
7) サティシュ・クマール『人類はどこへ行くのか~ほんとうの転換のための3つの"S"』(ぷねうま舎)
原題 "Soil Soul Society : A new trinity for our time"
インド出身・イングランド在住の思想家、サティシュ・クマール(1936- )。彼のことをご存じの方が、日本にどれくらい居るかはわかりませんが…。
ちょっと、彼の肉声を聴いてみましょう。文化人類学者の辻信一氏が、彼(以下、サティシュ)を日本に招いたときの動画です(2分30秒)。
「サティシュ・クマールの 今、ここにある未来 with 辻信一」
サティシュ「世界の問題を解決する第一歩は、あなたの今日の食事からです。」
これは「身体にいいものを食べましょう」という意味ではなく、「この地球上の生命は、相互につながっている。そのことに、いつも心を配りましょう」ということ。
広い視野で物事を捉えつつ、それを日常生活に反映させることの大切さを、実にシンプルに語ってくれています。
すでに過去の著作にて、デカルト以来の「西洋合理主義」に異を唱えていたサティシュ。そこでも仏教的な“縁起”の思想、「生命の相互依存関係」について熱く語っていました。
『君あり、故に我あり~依存の宣言』(2005年) |
今回、私が紹介した本(原著2013年、日本語訳2017年)では、さらに具体的な提言として、
・人類が地球環境と共存できる新しい文明の構築のため、新しい三位一体説(Trinity)が必要である。
・それは3つの”S”…「土(Soil)」「魂(Soul)」「社会(Society)」から成る。この三要素の調和を目指そう。
・まずは「土(Soil)」から始めることが肝心。なぜなら、土こそが生命の源だから。
…と述べています。
※サティシュはもともとジャイナ教という、仏教との共通点が多い宗教の修行僧でした。9歳で出家するものの、修行僧としての生活は18歳で終わらせ、その後は独自の平和活動を展開。その過程で「仏教経済学」を提唱する経済学者E.F.シューマッハーと出会います。
E.F.シューマッハー『スモール・イズ・ビューティフル』 |
そんな経緯から1991年、サティシュはイングランド(デボン州ダーリントン)にて「シューマッハー・カレッジ」という名の学び舎を開設、現在も運営を続ける教育者でもあります。
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こうしてつらつらと、まとまりない言葉を並べてきましたが(途中から、うまくまとめることを放棄したのですが(笑))、「私はなぜ、サティシュのような生き方に惹かれるのか?」を突き詰めていくと
私もサティシュにならって「新しい学び舎を作りたい」と、(無意識下で)思っているのでは…?
そんな考えが浮かんできました。
その「学び舎」の存在目的は言うまでもなく、「進学のため」でも「社会的地位を得るため」でも、ましてや「金銭的な意味での“富”を築くため」でもありません。
そこはただ、「より良い人生を送るための学び」を実践する場であること。
そこで獲得すべきは知識や技術以前の、「審美眼」や「美意識」(或いは"Sense of Wonder")ではないかな?…と、考えたりします。
レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』 |
もちろん、生きる上で必要となる「科学」… 生態学や地質学、気象学に構造力学、或いは政治学や経済学(=社会システム論)といったことも、そこでは学ぶでしょう。しかし、誰かから「その学びは、何のため?」と問われたならば、学ぶ人自身が
「他の生命体との、よりよい共存関係を築くためです。そのための叡智を、ここで学んでいます」と即答するような、そんな場を。
つい最近出版された、こちらも気になります。 読書会しようかな(英語が得意な人、誰か~♪) |
はい、これにて「コーゾーの選んだ7冊」の紹介は終わりです。
この一連の記事を書き始めたとき、「これが書き終わるころ、自分の進む道は改めてクリアー(明瞭)に見えてくるのでは…?」という、かすかな予感はありました。
実際に書き終えた現在、「想像以上にクリアーに(!)」なりました。
きっかけを作ってくれた さよぽん(home's vi)、本当にありがとう。
そして、こんな駄文にお付き合いいただいた皆さまにも感謝。
さてさて、あなた自身は、どんな本を人生のガイドに、これからの時間を歩みますか?
…それではみなさま、Adieu!(またね!)
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