今回は、1枚の写真から。
この3箇条、「校訓」としては日本一ではないでしょうか? …私の意見。
自転車でよく前を通るのですが、今日は思い切って写真を撮ってきました。
怪訝(けげん)そうに見ていた生徒さん、ごめんなさい。私、怪しい者です。
学校へは、この門をくぐります (※他の入り口もあるようです) |
- 自己を尊重せよ
- 真理を探求せよ
- 社会に献身せよ
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さて、私が卒業した学校(東京都荒川区)には、校名の由来となった四字熟語があります。
それは、
「開物成務(かいぶつせいむ)」
出典は中国の古典『易経』。
元の文章は、こんな感じです。
それ易(えき)は、物を開き務めを成し、天下の道を冒(おお)う。
(易経・繁辞上伝)開成学園、初代校長は高橋是清 講堂には銅像もありました |
この「開物成務」=開成という言葉は、先に挙げた洛南学園で言うところの
- 真理を探求せよ(開物)
- 社会に献身せよ(成務)
この2箇条に対応しますね。しかし、
- 自己を尊重せよ
とは言ってない。
この違い、非常に大きいのでは、と感じます。
以下はちょっと、飛躍した考えかもしれませんが…。
「自己の尊重」という大前提を持たずに「真理を探求し、社会に献身する」という生き方を選択する。それは、どこまで行っても主体的な「軸」を持たない、虚しい人生にもなりかねない。
「自己という存在は、後にも先にも、ここにしか無い」という唯一性(uniqueness)への自覚は、何よりも大切なのではないか…。
私自身は幸い、「自己の尊重」ということの意義を噛みしめながら日々を送ることができています(ありがたや)。
同級生のみんなは、だいじょうぶかい? 長いものに巻かれすぎて、自己を見失ってないかい? …なんて。余計なお世話かもしれませんが。
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以前の記事でも書きましたが、幕末から現在に至る170年ほどの日本は、「富国強兵」という旗印の下で一直線に(『坂の上の雲』を目指して)進んできました。
(秋山真之も正岡子規も、開成学園の前身校の卒業生)
そして、1945年の敗戦以後は「強兵=軍事力の増強」に向けるエネルギーもすべて、「富国=産業社会の進展」に注いできました。その結果としての「物質的繁栄」という面では、日本はまちがいなく世界の優等生です。
でも… どうでしょう? 「精神的充足」は、じゅうぶん達成できたといえるでしょうか?
令和年間(2019年~)から始まる新しい日本史は、近代化のプロセスをすっかり終えた帰結として、根本的な「パラダイム・シフト(常識の大転換)」を経験するだろうと、私は確信しています。
それは1853年の「黒船来航」=外から与えられたきっかけではなく、「内発的・実存的な変容」=個々の内面から始まるものに違いありません。
天外伺朗さん(元ソニー上席常務、工学博士)の著作からは たいへん刺激を受けています。本書の紹介文もぜひご覧あれ |
私自身は、2011年の東日本大地震を起点として、この10年間で劇的な自己変容を遂げた実感があります。「このまま同じ道を歩んでも、得るものはない」という直観に従い、誰もが知っている大企業を離れて、当てのない旅に出た甲斐がありました。
皆さんは、どうですか? コロナによる巣ごもりライフは、「これからの社会」+「自己の担う役割」を考える、良いきっかけになったのでは。
そしてもうひとつ、
「自己を尊重する」ということの意味と意義を、きちんと考える時間はありますか?
…と人に問いかけつつ、我が身に向けても日々、問うていきたいと思います。
これからは「滅私奉公(めっしぼうこう)」ではなく、「活私創公(かっしそうこう)」を!
それぞれの個性が重なり合うハーモニーを、創造の喜びとして、味わっていきましょう。
それでは、また!
コーゾー
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