【こちらの記事、読了まで10分くらい。長い! ですが、割といいこと書いてます(自賛)】
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数あるTEDトークの中でも有名な、サイモン・シネック氏の
"How great leaders inspire action"(優れたリーダーは、どのように行動を促すか)。
とても刺激的な(inspiringな)内容で、事あるごとに見返しています。
読者諸氏には
「Why?からはじめよ」または「ゴールデンサークル」と言ったほうが、ピンと来るかもしれません。
(動画がうまく表示されない? そんなときはこちらをクリック)
内容をかいつまんで言うと
・多くのプロジェクトの背景説明は、What(何を) → How(どのように) → Why (なぜ)の順でなされる。「これは素晴らしい商品です(What)」「このように作られています(How)」「なぜ、この商品を世に出したかと言うと…(Why)」といったぐあいに。
・しかし…。 真に力強い・求心力を持つプロジェクトは、この真逆の順序で構成され、実現される。発想の起点は「Why?(なんで?)」。
・重要なことは「何をするか・作るか?」ではなく「プロジェクトの目的は?」「企業の存在意義は?」「あなたの情熱は、どこから来ているか?」である。
さて、これを自分自身(コーゾー)のプロジェクトに置き換えて、過去と現在を検証してみます。
(以下、ご自身の経験に照らしてお読みいただくと、何らかの学び・気づきがある、かも??)
そう、あれは2013~14年のこと。
「海外からの旅行者に向けて、京都専門のインバウンド観光事業、立ち上げるゾー!」と、私は意気込んでいました。
最初のターゲットは台湾!とかとか。
それまで「ビジネス」から縁遠い人生を送ってきたからこそ、スケールの大きな事業に挑戦してみたかった。
プロジェクトのコードネームは「MIKANS(ミカンズ)」。Multilingual Integrated Knowledge And Networking Systemの略、とか口走っていましたが、英語として通じるかは不明。「多言語統合型ナレッジ&ネットワーキングシステム」、なんか名前だけはすごそう。
(MIKANSって、大好きなスピッツの曲名でもある。関係ないけど)
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(たとえ儲かりそうな事業でも、めったに気乗りしない、ということ)
しかし、観光事業(=京都市の魅力を海外のお客様に伝える事業)というのは
・地域に永続的な富をもたらす事業であり
・(交通に使われる燃料を除いては)環境面での負荷を与えず
・市民の誰もが、部分的にサービスの担い手となれるもので(運営会社は、手配・調整を受け持つ)
・インバウンド専門なので、留学生たちの仕事も創出できる
…と、コーゾーの眼鏡にかなう(?)要素が揃っていました。だから、自分でも不思議なくらい「よし、これで行こう!」と自信を持てたのです。
観光業は環境に負荷を与えない、21世紀の優良事業 写真:竜安寺の石庭(きぬかけの道推進協議会HPより) |
当時は自分の事業プランに、ずいぶんのめり込んでいましたね。
ビジネスプラン作成講座に参加して財務シミュレーションをしたり、プロの目利きたちに「これはかなり、伸びしろがありそう」と言われて調子に乗ったり…。
ところが、この事業は見事に頓挫(とんざ)します。
開業に必要な資本金も集まらなかったし(旅行業は、借入金では開業できない決まりです)、創業メンバーになってほしい人への勧誘も、うまくいかなかった。事業をスタートさせるところまで、行き着くことすらできなかったのです。
当時は「ここまで考え抜いたプランに、皆はなぜ賛同してくれないのだろう?」と、ひとり頭を抱えていました。
(このとき手を差し伸べてくれた友人たちには、心から感謝しています。ご恩は一生忘れないでしょう。大げさではなく)
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あれから5年あまり。今となっては、うまく行かなかった理由がわかります。
自分としては十分に深掘りしたはずの「Why?(なぜ、これをする?)」が、真実のものでは無かった。だから、他者に "inspire"を与えるパワーを備えていなかったのです。
「これからの日本経済は、地域ごとの観光事業者が核となって、再生していかねばならない」(だから、やるのだ)
当時の私が考え抜いたこの「Why?」、お題目としてはじつに立派。でも…
「言っていることは正しい。けれど、人の心を揺さぶる力(ちから)を持たない」。
正しさの限界。私が陥りがちなやつ。
心ではなく、頭を使いすぎなやつ。
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時は流れて2019年の春、キャリアカウンセラーの友人夫妻による「ビジョン・ワークショップ」に参加しました。
(くわしくは→こちら)
このときの体験は本当に良かった。とてつもなく大きな「気づき」を与えてもらいました。
半日がかりでいくつもワークをしましたが、「これからやりたいこと」をひたすら書き出すワークがこちら↓
さて、ここに並んだ項目はすべて「What?(何をするのか)」ですが、これを一通り見渡すと、真の「Why?(なんで、これをやりたいの?)」が見えてきます。
それをひとことで表せば
「理想の“ふるさと”を創造したい、そして次世代に自信を持って手渡したい」
…ということ。
もっと端的に【心の叫び】を吐き出すなら
「私は“ふるさと”と、共に生きる“仲間”が欲しいんだ!」
…これこそが私にとって、事業を興すそもそもの理由(Why?)だったのです。
この「Why?」がクリアに見えたなら、「How?」も「What?」も話はシンプル。
「How?」は、地元に暮らす仲間たちと手を取り合って、ということ。だから、外部から人材を招聘することはしない(事業の構成メンバーについて、悩むことはない)。
そして「What?」は、ぶっちゃけ何だっていいのです。
上のポストイットに書かれたもの、この中のどれから始めたって構わないし、集まってくれたメンバーが「これをやりたい!」とアピールするなら、ここに無いものだって大歓迎。
現在の私は、対外的に
「コーゾーはこれから京都市内で、『八百屋さん』兼『お弁当屋さん』兼『学童保育』兼『コワーキングスペース』兼『介護相談窓口』の、複合施設を作ります!」
…と説明していますが、これはあくまで、わかりやすく表現するための方便。実際のところ事業の内容は、何だっていいのです(sustainable な仕組みが、作れさえすれば)。
今なら自信を持って、そう言えます。
私は訳あって、12才で(小学校卒業と同時に)「ふるさと」を失いました。当時、大きな喪失感があったことを覚えています。家族の誰ひとり、私の気持ちを理解してはくれませんでしたが(すでに姉も兄も、同様に地元を離れていたので)。
それから30年あまり。私自身が「ふるさと」(=自分自身の拠って立つ場所)を持たないまま「お客様をお招きしたい」と考えたこと、これはおかしな順序でした。仮にそれが、収益構造として成り立つとしても。
私に必要だったのは“素晴らしい事業プラン”ではなく、
自分自身が愛着を持ち「この土地の未来を、近くに暮らす人たちと共に創造していきたい」、そう思える“土地”だったのです。
どんなに科学が発達しても、ヒトは“生きもの”。すべては、拠って立つ土地から始まります。
シータ「土から離れては、生きられないのよ…」 |
誰もが住みやすく*、「子育て」も「老い」も安心してできる土地にするため、
八百屋さんを核にして、教育も、地域医療&介護も、商業も、地球温暖化対策も考える「21世紀型の公民館(フューチャーセンター)」を運営したい。
現在のこの「What」は、本心から“ふるさと”を欲する「Why」があるからこそ、力強いメッセージとなる… 今はそのように考えています。
*「すべてのサービスをお金で調達したい」という人には、住みにくい町かもしれません。各自が「できること」を持ち寄り、支え合うのが前提なので。
【参考図書】野村恭彦『フューチャーセンターをつくろう ~対話をイノベーションにつなげる仕組み』 |
(まとめ)
今回は私自身の「Why?」=「なんで、それをやる?」の発見プロセスを書いてみました。
これをお読みの皆さんには、何か目指しているもの・実現したいことはありますか? なになに、「ある」って? それは素晴らしい!
では、その実現を確かなものとするため、改めて「Why?」を考えてみてください。
あなたは「なぜ」、それを実現したいのですか?
心の奥底に眠っている「本当のねがい」って、何ですか?
そして、私にもぜひそれを教えてほしい。その「Why?」が本当に、心の奥底から湧き出たものなら、それを受け取った私の心は強く揺さぶられるはず。
周りの人たちの心を、どんどん揺さぶっていってください。こうした「プロジェクトの“うねり”」が世の中を明るい方向へ導いていく、私はそう信じています。
さぁ、あなたの「Why?」から、大きなうねりを起こしていきましょう!
ミカン大好き・コーゾーでした。(きょう、46才になったよ)
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