真夏のピークが去りましたね(by 志村正彦)
今年も、エアコン無しの部屋で猛暑を乗り切りました。なんとか生きてます。
さて、今日は気になるニュースを。WWFジャパン(世界自然保護基金 日本支部)のWebページより、最近の記事を引用します。
https://www.wwf.or.jp/activities/news/4390.html
(以下、記事より引用)
国際シンクタンク「グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)」は、2020年8月22日が、2020年の 「アース・オーバーシュート・デー」であると発表しました。
人間による消費の量が、自然による供給量を上回り、「オーバーシュート」が始まったのは1970年代のことです。それ以来、人類は地球の生態系サービスの「原資」に手を付けながら「赤字状態」で生活をしていることになります。
つまり、アース・オーバーシュート・デー後に人類が使う自然資源はすべて、未来の世代が使う資源を前借りし、消費を続けていくことになります。(引用おわり)
photo by annca(Pixabay) |
よく話題に上る「国の財政=借金の処理」もそうですが、今の子どもたちは環境保全の面でも、上の世代の「浪費」の後処理を背負わされるだろう、ということ。
そのことを端的に示したのが、同じWWFが2014年に発表したこの意見広告。
たいへん優れた広告表現だと思います。
主たるメッセージは「”地球にちょうどいい暮らし”をはじめませんか」。
(これ、以前の記事でも紹介しましたが、価値あるものは何度でも) |
さて、今年のアース・オーバーシュート・デイ(地球の資源を使い切った日)。
2020年の「8月22日(年初から235日目)」というのは、昨年にくらべれば3週間ほど遅くなりました。コロナウィルス(COVID-19)の流行により、経済活動が縮小した影響ですね。
とはいえ、個人的にはもっと後ろ倒しになることを期待していたのです…。残念!
(グラフの左端に注目。1970年ごろまでは、資源の消費量は「地球1個分」に収まっていました。今では、1年間で「地球1.6個分」を消費しています) |
このごろは経営者の方から「コロナ以前の状態に、どうやって戻すか?」みたいなお話を聞くことがあります。お気持ちは勿論、わかるのですが…。そんなもの、期待するのが間違いです(キッパリ)。
今回のニュースからも明らかなように、環境保全の観点から見れば「コロナ以前の状態」に戻している場合ではありません。これだけ経済活動が停滞しても、人間による天然資源の利用スピードは早すぎる。
このままでは自分たちの子ども世代に、豊かな自然環境を残すことは不可能。だから、もっとドラスティック(Drastic; 抜本的)に “エネルギーを使わない” 、“資源を枯渇させない”、“CO2を排出しない”生活を推進しなきゃいけない。
企業はむしろ、そういう低エネルギー・低炭素社会に人々を導く商品・サービスを、果敢に作り出していかないといけません。
いま、企業人に求められるのは「これまでの当たり前を、どれだけ破壊できるか。新しい常識を作り出せるか」ということ。創造的破壊ですよ、破壊! 過去からの延長線上に未来なし!!
こんなとき…。やはり、彼の姿が脳裏に浮かびます(←私、かなり変人ですね💧汗)
ヨーゼフ・A・シュンペーター(1883-1950)*1 |
経済学者シュンペーターが『経済発展の理論』(1912)で示した「新結合」、今ほど求められる時期はありません。後世において「イノベーション」と呼ばれるやつですね。
・商品やサービスを作り出すにあたり、新しいタイプの「組み合わせ」によって、既存の商品(あるいは、業界そのもの)を過去の遺物としてしまうような、画期的なものを生み出せる
・しかもそこに、技術的な新奇性は必要ない
こうした「新結合」によって生み出されるもの(あるいは、それを継続的に生み出す企業)こそが、世の中をダイナミックに動かしていくのだと。
…こう書くと「だから何?」という声も聞こえてきそうですが、「資本力」や「技術力」が富の源泉だと思われていた時代に「編集力」こそがカギなのだ!と言い切ったシュンペーター、只者(ただもの)ではありません。
私が「イノベーション」よりも「新結合」(独:neue Kombination)という表現を好むのも、「成果としての巨大なインパクト」よりも「人間の営みとしての、編集のパワー」に注目した言葉だから。一応わたし、「編集」を本業としていた時期も長かったのでね。
(ちなみに、前述の「創造的破壊」という言葉、シュンペーターの著書が初出とされています)
コロナ禍に見舞われて、はや半年。まだまだ日本経済(日本企業)にはネガティブなニュースが多く、「おおっ、そう来たか!」というような明るいニュースは聞こえてきません。
でも、これからガンガン出てくるんじゃないかな。大いに期待しています。そして、私自身も、なんらかの「新結合」に関わりたい。
私が担う「新結合」は、画期的なサービスを世に送り出す、といったものではないでしょう。それは、真の意味での「新しい結びつき」:人と人、人以外の生き物たち、山河としての土地そのもの、その土地が育んできた歴史…
私が担う「新結合」は、画期的なサービスを世に送り出す、といったものではないでしょう。それは、真の意味での「新しい結びつき」:人と人、人以外の生き物たち、山河としての土地そのもの、その土地が育んできた歴史…
そうしたものとの「新たな繋がり」を企図するもの。
そして、自分が暮らす土地の「資源を再生する営み(regenerative actions)」を、最も価値ある振る舞いとして、周囲の人たちと担っていくことでしょう。
山河に抱かれ、いのちは輝く (愛宕山から京都市街を望む) |
そんな明るい未来像を思い描いて、きびしい残暑を乗り切りたいと思います。
では最後に、シュンペーターの弟子筋にあたるピーター・F・ドラッカーの言葉を。
“イノベーションにはリスクが伴う。しかし、スーパーへパンを買いに行くことにも、なにがしかのリスクはある。あらゆる活動にリスクが伴う。しかし昨日を守ること、すなわちイノベーションを行わないことのほうが、明日を作ることよりも大きなリスクを伴う。”
(P.F.ドラッカー『イノベーションと企業家精神』,原著1985)
それでは、今回はこれにて。
皆さまも、よき「新結合」を!!
(コーゾーさん) kozo3.net
*1 シュンペーターの写真(wikipediaより転載)
Image available for free publishing from the Volkswirtschaftliches Institut, Universität Freiburg, Freiburg im Breisgau, Germany. Copyrighted free use. - http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mises,hayek,shumpe.jpg, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=17120276による 2020/8/27 執筆 2024/09/06 修正 ###### (以下は、修正前の記事に書いていたもの) |
もちろんそれは「おお、そうやって省エネと利便性を両立させたのか!」と賞賛されるような、環境保全に資するものでありたい。例えばこんな発明、アフリカの事例ですが純粋にすごい!(重りを載せるだけで、長時間点灯する照明器具です)
私も今から発明家を目指すか…。書庫の奥にあるはずのこの本を引っ張り出して、改めて勉強しようかな。
日本が誇る「新結合」の名手、横井軍平(よこい・ぐんぺい、1941-1997)。ファミコン登場以前の任天堂で、輝かしい実績を残した「ゲーム作りの神様」です。
横井さんにとっての「新結合」は、 「枯れた技術の水平思考」。 ”既存の技術”を、”既存の商品”とは異なる用途に使うことで、まったく新しい商品を生み出す方法論。 |
横井さんが開発を担った任天堂「ゲーム&ウォッチ」。 私が子どものころ、バカ売れしました。 新技術は何も使わず、「組み合わせ」で市場を席巻した典型例。 ちなみに、あの「ゲームボーイ」も横井さん作。 |
こういった「組み合わせの妙」や「既存技術の意外な活用法」って、日本人はもともと得意なはず。
これから、目が覚めるような商品・サービスの登場に期待しましょう! より良い地球の未来のために(←本気で言ってます)。
###以上、修正前の文章###
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