奈良とSDGsとわたし

2019年12月15日日曜日

t f B! P L
12月14日。行って来ましたよ、晩秋の奈良!
社会人1〜5年めを過ごした思い出の地! 

…でありながら、今回は風景写真をまったく撮っていない。
(紀行番組のディレクターとしては失格)

いいのです。今日は観光で来たんじゃないの。まじめに勉強、勉強。
このデザイン、見たことありますか?

国連が2015年に定めた「持続的な開発目標」、Sustainable Development Goals ( SDGs )の公式ビジュアルです。

先日「お弁当屋さん宣言」をした私、当然このSDGs(持続的な開発目標)という言葉には敏感。

その真髄をカードゲームで学べるイベントがあるというので、近鉄電車に乗って奈良市まで足を運びました。

会場は、奈良市の地ビール工房 Golden Rabbit beer 
*猿沢池の南、ならまちセンター近くです

ビールを飲みに来たわけではない。けれど、普段お酒を飲まない私にもわかる。
「うまいんだな、これがっ」

講師は、認定ファシリテーターの川辺友之さん(株式会社パーシヴァル代表取締役)。

大阪・谷町で「アイデアと実行の人」としてご活躍の川辺さん、ファシリテーションの巧みさは「脱帽」のひとこと。あやかりたい。


カードゲーム「SDGs de 地方創生」、結論から先にいいますと「めっちゃオモロイ。はまりそう」。

以下、私の体験記を。

*****

このゲームでは、参加者全員を「ひとつの村の住民」とみなします。

今回の舞台となる村は、会場名から「ゴールデンラビット村」と命名されました。かわいい。住んでみたいかも。


(この状態からスタート。最初はすべての指標が「5」)

私たちが愛するこの村、ご多分に漏れず人口減少が止まりません。このまま惰性で行動していては、村の存続が危うい。

プレイヤー(=村人)はそれぞれ、自らの使命に即した活動を進めつつ、他のプレイヤーとも協力しあって村全体の発展を目指します。

つまり、このゲームのプレイヤー同士の関係は「競争」ではなく「共創」です。
*ここ、大事なポイントです。テストに出るよ !(嘘)


(真ん中にいる、白っぽいのがコーゾーです)

私たち村人が目指す目標は、ズバリ「人口の増加」。

しかも、ただ増えれば良いのではありません。経済・環境・暮らし(の充実度)にも配慮する必要があります。

この部分、実はこのゲームの肝(きも)でありまして、

「経済」「環境」「暮らし」の指標がバランスよく上がっていかない限り、人口増加にはつながらない

…という「システム思考的な現実」を、われわれに突きつけてきます。

このことは、ファシリテーターから簡単な説明はありますが、「つまり、どういうこと?」というのは、ゲームで体感しないとわからない仕掛けになっています。

(↓ちょうどこの本を読んでいたので、私は説明を聞いて「ピン」と来ました)

世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方
ドネラ・H・メドウズ Donella H. Meadows
英治出版 (2015-01-24)
売り上げランキング: 69,492


さて今回、私に与えられた役回りは「事業者」、具体的には「まち工場の経営者」です。


ただの経営者ではなく、「クリエイティブかつSDGsへの意識も高い人」ですから、SDGsの全17項目のうち、下記2つを常に意識して行動することが求められます。

ゲームの結果、仮に村全体が発展しても、自分自身の役割を果たしていなければ成功とはみなされません(ちゃんと本業で成果を出そうね、ということ)。

sdg_icon_12_ja_2.png (1276×1276)

さて、ゲームスタート。

手持ちの「プロジェクト」の中から、実現可能なものをどんどん推進していきます。




「こども議会」のように、お金がなくてもできる地道な活動もあれば…。



いろーんな根回しが必要な「大企業の工場誘致」、なんてプロジェクトもあります。

しかも、実行の結果として「何が起こるか」は、実際にやってみないとわかりません。


このゲーム、面白いのは「交渉はいつでも、自由にできる」ということ。

進行していくにつれ「お金はあるけれど専門家との接点がない人」、またその逆の人、といった状況が現れます。

すると、プロジェクトを推進するために「こちらの専門家を紹介しますから、お金をちょうだい」みたいなやりとりが多発するわけです。このコミュニケーションが、実に楽しい。

さて、全4ターム(12年)のうちの第1ターム(3年)が経過。

この3年間で起こったことは…。


おおっと、わが村の村長さんが自信を持って推進したプロジェクト「◎◎◎◎(*ヒミツです)」が、なんと裏目に!

経済指標は上がったものの、「環境」と「暮らし」は低下してしまいました。

人口が5から4に減ったのは自然減によるものですが(3年ごとにマイナス1というルール)、つまりはこの期間中、人口増につながるプロジェクトが、まったくできなかったということ。

何が原因だったのか? まだゲームの全貌がわからない参加者たち(私を含む)は、迷いはじめます。


この危機にあたって、私たち村人は「積極的な情報公開」と「話し合い」を進めていきました。

「この人のこのプロジェクトを応援したら、◎◎の指標が上がるんちゃうか?」

「行政から補助金を出そう。お金さえあれば実現できそうな、未来につながる事業はなんだろう?」

さぁ、ゴールデンラビット村は、この閉塞状況を打開できるのか??

(第2ターム、第3タームと進行して…。)


やったね! 第3タームまでに「経済」「暮らし」の指標は目に見えてアップ。
人口も着実に増えている!

あとは「環境」の指標を高めつつ、もっと人口を増やしたい。


そして第4ターム(スタートから9〜12年目)、私が自信を持って繰り出したプロジェクトで「環境」の指標がアップ! わーい!!

さて。終わってみれば、驚くほどの大成功!
われらがゴールデンラビット村は、人口の倍増に成功しました。


ファシリテーターの川辺さんも「今まで見たことないくらいの、素晴らしい結果」とおっしゃっていました。純粋にうれしい!

成功の要因は、やはりこれ。「徹底した情報公開」と「話し合い」。


当初、ゲームに慣れていないあいだは「自分のプロジェクトがなかなか進まないこと」にばかり目が行きます。

他のゲームと同様「自分ひとりが、良い結果を出すには?」という視点ですね。これに囚われている限り、まったく前には進みません。

やがて「ここに居るのは、村の未来をともに創造する仲間である」という意識が芽生えると、おのずと支え合い・助け合いの循環が生まれてきます。

 「誰かがプロジェクトを達成できれば、そこから新しい可能性が生まれる」

 とか、

 「この資源は、自分が持っているより、◎◎さんに活用してもらったほうがよい」

…といった、利他の精神で行動するようになるのです。

これこそが、SDGs  (持続的な開発目標)の達成に欠くことのできない姿勢であることを、このゲームは気づかせてくれます。

いやー、実におもしろかった。

皆さんも、お近くでゲーム会が開催されているときには、ぜひ参加してみてくださいね。

(開催スケジュールは → こちら

…以上、興奮冷めやらぬ奈良の現場から、コーゾーがお伝えしました。


【1/26 追記】
 この記事で紹介しているカードゲーム「SDGs de 地方創生」、私も公認ファシリテーターになります!
 2月末の養成講座@沖縄県恩納村に参加します。
 https://sdgslocal.jp/cardgame/

 取得するのは「営利ライセンス」ですので、この記事を読んだそこのアナタ! 営業活動(集客)へのご協力をお願いします(笑)

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