とっくに事業は始まっています

2014年6月29日日曜日

t f B! P L
シェア・オフィスでご一緒させていただいている方に、何かの拍子で

「加藤さん、いつが開業日でしたっけ?」(※)

と尋ねられました。
はい、開業届を提出したのは平成24(2012)年3月15日です。かれこれ、もう2年前。
(※正確には「みかんさんって、開業届出したん、いつ?」)

(ぜんぜん旅行会社じゃない)

今回は自分自身の整理のため、これまでに経験した開業・創業にまつわる諸々の手続きについて、振り返ってみます。

実はこの開業届を出した時点ではまだ、何屋さんになるかも決まっていない時期でして、

「過去のキャリアを活かすとすれば、映像や出版での学習コンテンツの制作と、それと連動したフィールド実習の企画、みたいな感じ? それってEテレ? ”たんけん ぼくのまち”?」くらいなノリでした。

(当時の名刺<裏面>。今となったらレア感高いぞ)

じゃあ、なんでそんな段階で開業届を提出しちゃったかというと、当時は
「雇用保険の給付金の受給資格を持つ人(要は失業者、求職者)がみずから創業準備を始めたとき、その旨を事前に届け出ておけば、自分以外の従業員を1名以上雇用した場合に限り、後日、助成金をお支払いします」
という制度があったから。
ただし、この制度は現在は廃止されたはず。

(参考記事: 日本の人事部 2005/08/08掲載記事

まー、この記事にもあるように、とにかくわかりにくい&不親切な制度でした。でも、当時はこれぐらいしか返済不要の創業助成金なんてありませんでしたから、「とりあえず」という感じで申請したわけです。けっきょく、意味はなかったんですけどね。

(チラシが残ってた。日本語なんだけど難解すぎる文章が並ぶ)

申請の時点では「労働局への意思表示」(=転職活動もマジメにやりましたが、やっぱり自分でお商売やることにします!)だけが必須で、べつだん(税務署に)開業届を出さねばならないという決まりはありませんでした。しかしながら、労働局ではなく税務署のほうのルールには
「その年の3月15日までに申請をしておかないと、実際に1年以内に開業できて利益が出たとしても、青色申告控除は受けられませんよ」
というものがあります。これは、昔も今も同じルールです。

で、当時は相変わらずのコーゾー的な発想(=やるからには、ありえないくらいに本気だせ)が頭をもたげまして
「1年以内に開業しようという意思を公的機関に表明するなら、ここで青色申告の申請をしておかないと本気とは言えないだろう」
と考えまして、税務署にも提出したというわけです。けっきょくはこちらも、意味なかったわけですが。

※青色申告の申請期限については、新規創業の場合は別じゃないか(3月16日以降でも受け付けてもらえるのでは?)とも思いましたが、税務署の窓口で書類があっさり受理されちゃったので「まあ、いいや」とそのままに。なぜかこの時の私はアバウトでした。

そんなこんなで開業届を出したあとで1(いち)から勉強をスタート、営業活動を行うのに最低限必要な国家資格を取得したのが同年10月。

もうこの時点で、意味不明な順序になってますけども。

(勉強だけは得意でよかった)

しかし、この時点ではまだ”お客さん像”も”サービス内容”も決まっておらず(小・中学生を対象とするのはすでに断念)、かと言って海外のお客様向けサービスになるなんて思いもよらず。

直後の総選挙で自民党に政権が移り、安倍総理や閣僚の方々が「ほにゃほにゃ」と言い出して

「・・・ん? すると海外のお客様向けのサービスが有利に? 外国為替うんぬんの話を抜きにしても、今後はビザ要件の緩和やLCCの普及で訪日観光のお客様がグングン増える?」

ということに気づいて、慌てて資料を取り寄せて猛勉強を始めたという。
今では「この方向でオッケー!」という確信の上で動いていますけど、ビジネスのきっかけってホント、こんなもんなんですね。

いっぽう、当時は雇用保険の給付も終わっていましたし、預貯金もすべて尽きていました。ビジネスプランの練り直しだけでなく、アルバイトや(再度の)転職活動も同時並行で行なっていた2012年の後半は、精神的にも体力的にもヒジョーにしんどかったです。当時は相当ピリピリしておりまして、一部の方々にはホント、ご迷惑をおかけいたしました。m(_ _)m

#####

さて、冒頭の「開業したのいつだっけ?」に対しては、上記のようなグダグダな回答になってしまいますが、「コーゾー、いつになったら事業を始めるの?」という質問に対しては

「もう、とっくに始まっています」
というのが答え。

顧客リサーチの方針が決まり、システム開発の方向性も決まって、サービス開発に向けた出資金募集を始めたタイミングが「わたし、この方向で起業することにいたしましたので、ご協力をお願いします」という対外的な交渉(通商、commerce)の始まりですから、

けっきょくは”行政機関への提出書類”も”国家資格の合格証書”も、どちらもまったく関係なく

平成25(2013)年4月8日、1人めの支援者の方に
最初の出資金をお振込いただいた日

というのが「記録」にも「当事者の印象」にも残る、真の開業日なんじゃないかと思っています。

悩みぬいた企画を”買って”くれる支援者がついに現れた!という感慨、そして、支払の滞った経費をいくつも抱えていた時期に「ちゃんと入金していただいた! やった!」という大きな喜びがありました。

通帳にご入金額が記されていることの、なんという意味の大きさ…。

これまでの私自身のビジネス感覚は、おそらくは典型的な法学部出身者というべきもので

提出書面の文言の正確さを、とことん追求する

という、ある意味”お役所的な感覚”に近いものがありました。大学時代(2大学で7年)+新卒キャリア(11年)において、真面目にやりすぎた弊害はあると感じています。

しかし、お商売人の感覚でより重要視されるのは

 「先月のアレやけど、相手さんから入金あった? まだ?」

・・・というような現ナマ感覚なんだろうと、この頃では思うようになりました。

(もう少しお行儀よく言うと「相手のココロを動かし、積極的なアクションを起こしていただかなければ、どんな美文でも意味がない」ということ)

このあたりのカルチャーの変化に自分を少しずつ慣らしているところですが、営業開始前にこうした感覚を養う機会を得ているのは、非常に有り難いことだと感じています。「財務(Finance)」と「会計(Accounting)」の意識がしっかりしてこその事業開発ですからね。

営業開始に向けた出資のお願いはまだまだ続きます。今は、当面の海外リサーチ費用を確保しなければなりません。

もちろん、創業まもない企業は小規模に営業をスタートさせたあとでも、一定の事業スケールに達するまでは「借入(融資)」ではなく「出資の受け入れ」を繰り返すのが当たり前。

まだまだ”お願い行脚”が序の口なのは分かっておりますので、これからも弛(たゆ)まず、がんばりまーす!


(本書を読み進めるのはかなり大変ですが、創業時に特有のファイナンス(出資による資金調達)の理屈がコンパクトに理解できます。今から創業を考えている方には、強くオススメ。)

それでは、また!

QooQ