奈良県の高原地帯、主に宇陀(うだ)市で獲れる大和真菜(まな)。たまに、無性に食べたくなるやつ。
ちょうど手に入ったので、さっそく煮付け(京風に言うと”炊いたん”)にしていただきました。
(水煮しておいた筍もいっしょに)
味しみが良いので、煮付けもささっと作れてありがたい。
和風だしをかなり効かせて、味付けには味醂を少々、あとは醤油をごく少量。
薄味ながらも、優しい甘みが感じられて美味でした。
(「だし」は、粉末タイプで時短しました)
(調理する前に、野菜じたいの写真を撮っておくんだった。現物を見たことない方はこちらを)
この「大和真菜(まな)」という野菜には、じつは強い思い入れがあります。
某テレビ局の奈良支社で仕事をしていたころ、私にあるミッションが下りました。
「奈良県独自の『ふるさとの食(食材or料理)』といえるものを探せ! それを全国放送でアピールせよ!」
…いやほんと、途方に暮れましたよ。
今でこそ、奈良県も県産品を広くアピールしていますが、2003年ごろにそんな空気はまったくなし。
奈良県の食べものといえば「柿の葉ずしか三輪そうめんか」くらいなもんで、巷(ちまた)には「奈良に、うまいもんなし」というフレーズだけが溢れておりました。
(柿の葉ずし、大好きだけど冬場のロケでは扱えない… 写真は奈良県観光公式サイトより)
さて、手がかりゼロの状態から取材を始めますと、
「宇陀市(当時は大宇陀町)にある農業試験場では、特産品となる野菜を生み出すべく、在来種の試験栽培が行われているらしい」
…との、耳寄りな情報が。
さっそく現地に急行しますと、そこでは同僚の誰も知らない(当時はおそらく、奈良県民の95%も知らない)大和真菜との出会いがあったのです!!
(話をずいぶん端折ってます。いやー、我ながらよく見つけたなー)
「味わい柔らかく、歯ざわりもよく、煮付けやお浸しにすると抜群においしい」
「ただし、収穫後わずか2〜3日で黄化(葉先から黄色に変色していくこと)するため、流通には不向き」
…ということで、自家用の栽培は行われていたものの、市場には出まわらない幻の野菜。
私が取材した当時は、 農業試験場で選別された種子(タネ)を地元のご家庭(農家というより、自家用の畑を持っている奥さま方)10軒ほどに育成してもらい、品質安定に向けた栽培実績を作っているところでした。
さて、試験場の方にご紹介いただいたステキな奥さま、そのおうちにお呼ばれして真菜の煮付けをいただくと…
「う、うまい!!」
これはいい番組ができるぞ、と敏腕ディレクター(当時)のコーゾーは直感したのでした。
(ロケ時の写真も持っていますが、有名な方も写っているのでUPは控えます)
あれから15年たった今も「どこにでも売っている野菜」とは言えませんが(やはり日持ちの悪さがネックですね)、
野菜通の方には「ああ、奈良の高原地域で栽培されているアレね」と、それなりに知られた存在なのでは。
奈良県による「大和野菜」の公式サイトでも、今や筆頭の扱い。私の制作した番組も、ちょっとは普及に貢献したものと思いたい。
路上で素晴らしい歌声を響かせていたあの人が、苦労の末にメジャーデビューを果たす感じか?
(私の友人には、「コブクロ」を路上時代から応援していた人がいます)
私自身もいま、途方もなく長い道のりのプロジェクトを手がけています。ロング・アンド・ワインディング・ロード。
手順さえ間違えなければ達成できる自信はあるものの、誰の目にも”成果”と言える状態になるには、まだかなりの時間がかかることも分かっています。
これまで何度も挫(くじ)けそうになりましたが、大和真菜に教えてもらった
「種も蒔かずば、実るまい」
…の精神で、地道に歩いていこうと思ったのでした。
最初はどんなに小さな種も、成果を見据えて水やりすれば、やがて芽が出る・葉も茂る。
(※種を蒔く土地えらびも大切です)
おいしかったよ、大和真菜! でも、もう君のシーズンは終わりだね…。
寒くなったら、また会いましょう。そのころにはコーゾーの活動も、少しは進展しているかもしれないしね。
(最近は、こんなのも読んでます↓)
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それでは、また!
コーゾー
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